また、寝室に落下物を置かないことや、つり下げ式の照明器具は落ちないように補強するとか、万一落下しても危険のない照明器具にしておけばよい。
日々のちょっとした工夫が大切なのである。
住宅を耐震的にすることも必要だが、日本建築なら地震でつぶされて死ぬことはまずない。
それよりも、こわいのは地震のあとの火事である。
地震を予知することは、いまの科学ではむずかしいとしても、家を燃えなくするのは可能である。
住まいの防火対策を考えなくてはならない。
防火対策が「家内安全」の第一歩である。
現代の火事においては、大火とボヤではまったくちがう。
建物の周囲が1000度にもなるような大火になったら、どのような家をつくってもダメである。
燃えてしまう。
ただ、現在での大火のケースというのは、火元が多すぎて消防体制が追いつけず、間に合わなかった場合である。
それ以外で大火になることはまずない。
問題は大火にまで至らぬケースである。
消防白書を調べてみればすぐにわかることだが、建築物との関係が原因の死亡者、とくに煙にまかれての死亡者が多い。
これは最近の新建材や衣服・寝具などに高分子の合成材料が多くなっていることに起因している。
昔からある金属やセラミックス、セメント、石綿などの不燃材料を主材とした建材なら安全だが、難燃・可燃の新建材は火災の際を考えると使用はできるだけ控えたい。
とくに難燃というのは、文字どおりにいって燃えにくい材料ということであるが、これは決して燃えないということではない。
不完全燃焼するということである。
火災時の黒い煙は完全燃焼していない炭素、一酸化炭素がいっぱいという証拠だ。
アクリル繊維からは青酸ガスが出たり、塩化ビニールは熱分解の過程で窒息性のホスゲンガスも出るという。
ホスゲンガスは第一次世界大戦以来禁止されている化学戦に有効な毒ガスである。
また、高分子材料は燃焼に際し大量の酸素を必要とするから、気密な空間では酸欠に陥りやすい。
閉鎖された艦船の火災や炭鉱などの事故に似た、酸欠による窒息や呼吸器の火傷による死者が最近の住宅の火災では多くなった。
つまり難燃などという安全そうな美名を冠してはいるか、人間にとっては非常に危険なしろものということである。
人間がそこにいない分にはいいのかもしれぬ。
消防・防火にはそういう人間をないがしろにした考えがときどき顔を覗かせるのが気になる。
防火壁などというのもそうだ。
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